【追加有】福を運ぶ神亀のお祭り 〜乞龜節〜

乞亀をご存知ですか?
亀は長寿の象徴とみなされ、神々とともに長生きをする動物と考えられています。神と並び人々を永遠に守ってくれると言う人もいるほどで、神のお力添を助けてくれる吉祥物として、様々な文化で大切にされることの多い動物のひとつです。
日本でも鶴は千年、亀は万年、なんて言いますし、亀甲紋はめでたい亀の力を使うように昔から使われてきていますね。
今日こんなニュースを見ました。
https://t.co/hvS7VcdrUA
— 台湾ニュース@中央社フォーカス台湾 (@focustaiwanjapa) 2021年2月25日
福を招く黄金のカメ=台湾海峡に浮かぶ離島・澎湖
重さ12キロで9500万円もかかったという
これは台湾でも特に、離島と南部が盛んだと言われる祈福還願行事です。(トップの写真は高雄の廟で私が参加した時のものです)
しかし、9500万円!すごいですね!さすが、盛んと言われる澎湖島です!
この中文記事によると、馬公の山水上帝廟だそうです。
元宵節(上元節)の期間、人々は上の写真のように大きな神亀を作り、神明に家へ戻ってきていただくように請い求め、また、家人の今年の1年が平安でつつがなく過ごせるように、更に財運が上がるようにと祈るのです。この神亀は、その廟の主祭神のお力を運んでくれる大事な存在です。
乞亀は閩南特有の民間習俗
特に福建方面からの閩南移民が多く移住した、台湾の離島である澎湖島や、澎湖島からの移住者が多い南台湾で、盛んに行われています。
勿論、それ以外の所でも行われている行事で、例えば台湾北東部である宜蘭もかなり盛んだと聞いたことがあります。
あ!言い忘れましたが!この神亀は、リクガメではなく、ウミガメさんです。海無し県である岐阜育ちの私には、大変興味惹かれるイベントなのです。
生活の困窮から始まった信仰行事

※「劍獅祈福」作:劉如桂
台湾早期の時代、農業を行うのは大変で、農民は貧困生活を余儀なくされることも多く、時には年を越すことも困難なほど苦しいものでした。
そんな時代、廟では元宵節(上元節)の時に、蓄えていた米を含む五穀や小麦粉などを使って、亀の甲羅に見立て寿紋を上に描いた蒸し物を作りました。
そして、神にポエで神意を伺い許可が出た人に、その蒸し物を分け与えました。
それによって人々は正月を越すことができたのでしょう。
ポエはこういうものです。
台湾の廟でお馴染みのポエ。横浜媽祖廟で見たことがある方も多いかも。御神意を伺う為の道具です。日本でよく知られているのは、写真右側の組み合わせから御神意を知る方法ですね。また、更に27(または28)通りのお知らせを読むこともできるんですよ。今年はそれもちょっとやっていこうかなー。 pic.twitter.com/OnMhN4dCRx
— 霊能者 火水ハヌル@廟會が足りない (@hanuru_) 2021年1月3日
蒸し物をいただけた人は、次の豊作の時には必ず亀の紋がついた蒸し物を神にお返しし、物乞いをして年を越さねばならぬ人が飢える事無きように、渡すことを行うようになったのです。(助けられた人が次に他の人を助けるという扶助の行いです)

※「劍獅祈福」作:劉如桂
更に、頂いた人々が神に蒸し物をお返しする時には、その御恩に報い感謝を表すために、頂いた時と同じか、より多くを返すようになりました。昨年のご加護への感謝(還願)と、新しい1年へのお力添えのお願いを形でしっかり表すのですね。
【追加】これは、乞亀に限らず、台湾では一般的によくあることで、願いをかけた神様にはその後、還願(と再度の祈福)を行います。
日本で言えば、例えばご祈祷を受けたら、後に感謝と新たな願いの成就を込めて祈祷料と同じかそれより多い寄付をするという感じで想像していただいたらわかりやすいでしょうか?
台湾の古くからある廟や巨大な廟は、そういった人々の感謝があった証拠でもあるんですね。
故に、より多くの人が助けていただいた廟ほど、神亀は巨大化していきます。
その例を下にあげていきましょう。
高雄市内を巨大な神亀が市中巡行
三多商圏站に現れた大龜王。 pic.twitter.com/XqIUYqHE2p
— 霊能者 火水ハヌル@農暦的生活 (@hanuru_) 2019年2月14日

※前に立っている人やタイヤの大きさと神亀を比較してみて下さい。
今ではこんなに巨大な神亀=大亀王のお姿が作られています。(この大亀王は前にご神像が置かれ、ともに市中を一週間ほど巡回します)
神亀の中身は多種多様

上の大亀王と同じ高雄の廟で、今年の作成をしている様子です。中身がよくわかりますね。(廟の方が送ってくださいました。感謝!)
この写真でわかるように、こちらでは時代の流れとともに、伝統的な蒸し物だけではなく、珈琲や乾麺などで神亀を作るようになったそうです。
この廟では作成を廟管理委員会が行いますが、管理委員会の方曰く、「保存期間が長い物のほうが現代生活では人々の役に立つからね」だそうです。
ここの廟にはありませんが、他の廟では、ピーナッツ飴やパイナップルのお菓子で作る神亀なども作られるようにもなっています。
神亀の周りに貼り付けられているお金は台湾の100元紙幣で、約350~380円くらい(その時のレートで変化します)。
これは米ドルなど他国の通貨の物もあり、100米ドル紙幣で周りを張り巡らした物も幾つか見たことがあります。日本円の物はまだ見かけたことがありません。
【追加】米ドル札の物も写真を撮ってました。

中身も総てお札だけで作った錢幣亀もあるにはありますが、たいていは、ほんの小さいサイズの物になります。 (最初のニュースの中に黄金大亀がありましたね!ゴージャス!)

このように廟の御神像の方に頭を向けて多数並べられます。
何千万という大金を出す人々にびっくり
ところで、この神亀は無料ではありません。もし、ポエで希望の神龜を持ち帰る許可が出たら、お金を支払い持って帰ることになります。その金額はおおよそ亀のサイズが小さいほどお値打ちで、大きければ大きいほど高額になります。(”おおよそ”と書いたのは、中には大きくてもお値打ちなものがあったりするからです。)
小さいサイズのものは500mlのペットボトルサイズくらいの大きさで、亀の形でなく、フクロウや鶴など別の形状になっているものが多かったように思います。
そして、これらは結構小さいサイズでも、おそらく皆さんが想像なさっているより、・・・高額です。さすが縁起物!!!

※わかりにくいですが、黄色い短冊の下の方に値段が書かれています。持ち帰る人が決定すると、上の空欄に氏名が記入されます。
上の巨大な大亀王の場合は、その頭上の冠だけを持ち帰る事ができますが・・・そのお値段は数千万円です。(二番目三番目の神亀も巨大なので冠だけで、やはり数百万円します)
そして、あらかじめ一人1枚しか貰えない「ポエを振る権利券」が配布されており、その券を持っている人のみが当日ポエを行うことができます。
しかも、7回以上連続okがでなくてはなりません。やったことがある方ならおわかりになると思いますが、なかなか難しいんですよ?7回なんて相当なんです。
私がこの写真を写した際、okがでて持ち帰ることになったのは、高雄港の港湾関連の会社の社長さんでした。しかも前年に引き続き2年連続だと伺ってびっくりしました。
どうしても持ち帰りたかった社長さんは、従業員にお金を配り、「ポエを振る権利券」の配布時に並んでもらったんだそうです。(色んな意味でお金持ちってすごい)
持ち帰った冠以外の体の中身は、お祭りの最後に分解され、昔と同じように貧しい人々に無料で配布されています。
ちなみに、四番目の大きいサイズ以降は、権利券は不要で希望者があればポエを振ることができますので、もし!欲しいという方はチャレンジしてみてください。
一方、澎湖島の伝統的スタイルの乞亀

「西乞亀(台湾の西は乞亀)」の言葉がある通り、やはり澎湖島の乞亀は見逃せないところ。
こちらは澎湖天后宮の方が送ってくださった、今年の大米亀。文字通り、お米の袋で作られています。
澎湖天后宮は台湾で最も古い媽祖廟で、所在地の馬公市の名前も、媽祖さまに由来しているんですよ(マカオや馬祖と同じですね)。いつも色々お教えくださり、感謝しています。

こちらは昨年ですが、見比べると、頭のお花が変わってますね。


これは”戴帽烏亀”。体が尖っているのだそうです。


こっちは綠蠵龜 。体が円形だそうです。
高雄の知り合いの廟では管理委員会が作成していましたが、天后宮ではそれを作る専門の師父がいらっしゃるそうです。しかし、だんだんとお年を召されていらっしゃるので、誰かが跡を継ぐことが無ければ、やがてここでも管理委員が作ることになるのかもしれません。とはいえ、今はこうして、貴重な神亀を拝見でき、とても有り難く思います。
が!! 正直・・山育ちの私にはウミガメさんは身近でないせいか、戴帽烏亀と綠蠵龜のフォルムの違い(尖っている、丸い)が、送っていただいた画像ではまったく区別できません(爆)
【追加】澎湖島にお住みの方のツイートより、こういう習俗もあるようです。
乞龜は作られた後に子どもたちによる儀式によってケガレがなくなり、神様の亀になると信じられている。この子どもたちは何週間も廟の中にこもって修行をする。こうした伝統は澎湖にしか残っていない。ちなみに最近は学業も大切なので廟と近隣のお寺が協力しあっていることもある。
— ダイチ@台湾の島で村おこし (@daichimiya) 2017年2月9日
これはおそらく本来神亀がある神と関係していることから来ているからでしょう。(あえて今年はこの件詳細は明かさないでおきます。何事も明かして良い時期というものがありますから。)
お連れした「神亀」がしてくださることは?
ご自宅にお連れした神亀は、その廟の主祭神のご神気を帯びています。神亀が主祭神の力を運んでくださることで家を守護し福を分けてくださるそうです。これを「分福」と呼びます。そのお力添えは、家や家族に関すること・事業・学業・金銭関係等総てお助けくださると聞きました。
一部の土地公廟では、土地公の重要な節日として乞亀(祭亀)を行います。
客家の伝統では、「吃福」或いは「食福」と呼び、「土地公の福を食べる」というような意味になるそうです。みなで土地公のもたらす食物と平安を分け合うという意味もあります。
土地公は、現在では財神として信仰されていますので、財運を上げたい方は、乞亀行事も気になるところですね。
以前高雄でご案内させていただいた皆さんの中で、乞亀節に一緒にご参加くださった方は、福亀をお持ちだと思います。ぜひ、元宵節の日には、蒸しパンをお供えなさってみてくださいね。
乞亀についての可愛い絵本

※私も持ってます♥
劉如桂さんの描いた「劍獅祈福」は、この乞亀節をモチーフにした可愛い物語です。台南安平で家屋を守ることで知られている劍獅が主役で、小さな福亀と一緒に不思議な一夜を過ごします。
台湾のVtuber 虎妮ちゃんが、ほぼ全ページを紹介している(!)動画です。言葉が分からなくても、雰囲気はわかりますのでよろしかったらご覧ください。イラストが可愛いんですよ。
紅白亀甲餅 を見つけました。
【追加】Twitterでポンフー・ブルーさんが乞亀の際のお菓子情報をツイートしてくださってました。
#澎湖元宵節2021
— ポンフー・ブルー@台湾澎湖住み (@penghu_blue) 2021年2月25日
この時期澎湖のあちこちで見かける亀の形のお菓子。#乞龜 #祈福龜 #平安龜 #祈福龜#肪片龜 #鳳片龜 #糯米亀 pic.twitter.com/NnB0Hks2ZC
澎湖島のお菓子、可愛いですね!
私のフォルダからも、高雄の乞亀の際に廟でいただいたお菓子の写真が出てきました。

これは参加した人全員いただけるものだったかはわかりません。私は管理委員の方から頂きました。外は米粉を蒸した感じで、中はあんこが入っていたような気がします。
これとは別に紅亀粿という赤い平べったい亀のお菓子もあり・・日本ではなかなか手に入りませんが、本来はこういう感じでお供えしたい所ではあります。
が、、日本ならではのかわゆい亀さんを見つけました。
節日のお供えや、ご進物などにこういうのも素敵ですね!
そういえば、乞亀とは関係ないですが、思い出したことが。
以前中部国際空港で台中観光フェアをやっていた際、ホテル券を賭けたポエ勝負で7回連続でOKを出した方がいました。(ゲームにポエを使うことの是非は今は置いておきます)
司会の観光協会の方も「これは驚きました!」とおっしゃってました。やはり7回連続を見る機会はそんなに無いことですね。これを書きながら、すごいなーと眺めていた事を思い出したのでした。
ではまた次回!
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